読書感想文「陽だまりの彼女」・白Ⅱ

 若いカップルが、イチャイチャ、ラブラブしている甘甘の小説は結構好きなのだがこれには拒絶反応が出た。おかしい。年をとったせいか?そう思いながら読み進めた。
 一ページ一ページ読むのにこれほどの時間と労力がかかる小説は久しぶりだ。何とか最後のページまで読んだが正直な感想は「苦痛」の一言だった。

 


 序盤は中学の頃に仲の良かった女性と再会するところから始まる。主人公とヒロインは相思相愛なのですぐに付き合い甘甘なイチャラブ小説になる。しかし、妙な違和感があった。何と言うか「わざとらしい」のである。
 二人のやり取りがキャラクター性から出た言葉というよりも「イチャラブ」という現象を描くために用意された書割に見えてしまって冷めるのである。
 キャラというよりもラブラブなカップルを書いているというのが多分合わなかった理由だろう。この二つがどう違うのか?という疑問があるかもしれない。私の持論としては生き生きとした魅力的なキャラクターがイチャイチャしているから感情移入やニヤニヤ出来るのであってラブラブなカップルをただ見せられただけでは「ああ、そうですか」としかならない。
 私の不満点はもう90%書いてしまったが残りの部分も検討しよう。
 中盤はややミステリー風になり奇妙なことが起こるがこの伏線は(ある意味)きれいに最後に回収される。
 最後のオチに関して言えば「悲恋モノ」をやりたいならもっと他にもやり方があったのではないかと思うくらい無茶な展開で特殊設定ものとしての出来は悪いと思う。ただ、最初の方から伏線(?)を張っているので理論的には筋が通って見える。
 「最愛の人がいなくなる」というテーマを扱った小説はたくさんあるのでどうしても見劣りしてしまう感がある。
 まぁ、ただ単に「合わなかった」だけかもしれないけれど、本作はこの企画がなければまず読まない類の本であったことは間違いない。そういう意味でこれは貴重な読書体験であったともいえる。