読書感想文・江戸川キックボード 「殺し屋の厄日」

この文を読んでる方なら同じサイトの私の駄作にも目を通してもらえてると思う。そして僭越ながら、私が目指す小説とは、この本のような小説なのである。
内容は、お世辞にも綺麗とは言いがたいサスペンスだ。むしろ、子供じみたブラックジョーク満載、といった内容である。
血と吐瀉物とウンコで彩られた凄惨な殺人事件、たまたま巻き込まれる現実的中二病の主人公、ひたすら悲惨な目に合い続ける殺し屋に、脱糞する黒幕、話は脱線するし、糞みたいな理由で失敗する、かといって陰謀は大規模な社会派だったりする。
この小説には、いわゆる張り巡らされた伏線やら、複雑な心理描写やら、口に出したい名文、全米が泣いたりなんてものはない。
だが予測不可能な面白味がある。
サスペンス故に、事件が起こり、調査し、全てが明らかになって、解決する。基本のプロットは王道だ。しかし、細かな点では、真っ直ぐに進んではいかない。キャラクターの紹介に始まり、愚痴に、ジョークに、変な知識、特に殺し屋は、全く主人公と絡まないところで不幸になってゆく。その過程、結果は、恐らく予測不能だろう。
王道を踏まえつつ脱線し、予測を許さず、吐瀉物とウンコにまみれた小説、これがこの小説であり、私が目指す小説の方向性なのだ。