詩のようなもの8

●最近/成長について●

 

 最近気がついたことがある。
 それは小さかった頃できなかったことができるようになっているということだ。
 最近気がついたことがある。
 それは昔より自分が鈍感になったということだ。
 昔はこうはいかなかった。
 小さかったころの自分を思い出すと感じるのは色色なものに縛られていたという感覚だ。
 例えば、人と話すとき、小さい頃は相手が不快に思う事を言っていないかと考えた、沈黙が続くの怖かった。

 でも今はそういう事をあまり考えない。そういう事を感じなくなっている。
 そういう意味では鈍くなったと思う。
 鈍くなったけれど、そのおかげで人と話すのが楽になった。
 成長というのはもしかしたらこういう事なのかもしれないと思う。
 色々な考えにがんじがらめになって動けなかったあの頃。
 今なら昔の自分に言えるかもしれない。
 色々窮屈だろうけど、そのうちになんでもないようになるよ、と。
 そんなことあの頃の自分は信じないだろうけれど。
 これが成長すると言う事なんだろうか?
 昔は気になった細かなことが気にならなくなって気が楽になっていく。どんどん鈍くなっていく。
 こういうのも成長と言うのだろうか。
 でも悪くない。
 そう思う。
 今の悩みもいつか、過去になるのだろうか。
 それは日々の生活の中で自分が削られていくということなのかもしれない。
 こうやって人は知らずに成長する。
 気がついて振り返ってみると、昔できなかったことをこなしている自分がいることに気がつく。
 その時遅ればせながら時間の流れを感じるのかもしれない。
 成長は足し算だけでなく引き算でもあるかもしれない。
 鈍くなる。
 気の抜きどころを知る。

 どんどん鈍くなっていく。

 最近は、そう。
 でも今の自分はなんだかんだいっていい感じだと思う。