「パブリックエネミー」アワーフェイス ラストエピソード

「貴様、最先端と歌いながら小娘のドローンに破れおって」
「ウヌは、あれ一台にいくらかかってるか、忘れたわけではあるまいな」

 


「それは、わかってます」
「お主、自分が死なないと思ってはおらぬかえ?」
「あーいいから、報告済ましちゃって」
「はい。最初の交戦後、中継のチップを無効化されたためその後のハッキングはできませんでした。また、トイボックス及び周辺の監視カメラがまとめてハッキングされ、その後の足取りは不明です」
「なんと情けなや」
「やれやれ、とんだ恥さらしもいたものだ。貴様、よく我らの前に出れたものだの」
「あーあれだ、ダメージはそれなりには与えたんだろ? なら補給の方からは辿れないの?」
「それが、再確認したところ、かなりの量の、ざっと三百年分の補給物資が過剰供給されてるのが見つかりまして。それの追跡をしていますが、これが何とも」
「ウヌは余程地獄を見たいようだな。それだけの予算でどれ程の馬が買えたことか」
「焼身自殺はまだかえ? 誠意があればできおろう」
「あーまぁ、それだけ優秀なのが裏切ったってことでしょ。こちらの手の内も知り尽くしてる上に人実の肉体も無視とは、いやはやわからんもんだね。ところでこの赤いのは?」
「侵入者です。対処したいのですが?」
「ウヌ! 逃げる気か!」
「あーいいから行って、待ってるから、じゃあグットラック」

(あぁそっか、ここに来るのは初めてなのか)
(そうなりますね)
(なんか、変な感じ)
(まぁ、なれない身体ですしね。それで、新しいボディはどうですか?)
(良い感じよ? ただちょっとね)
(やはり内部装備は必要でしたか)
(いやそっちはやっぱりいらなかったよ。なんだかんだ言ってここまで拳と銃だけでこれたわけだし。だけどさ。これがさ)
(胸ですか?)
(大きすぎない? なんか弾力もあるしさ。おしりもだし)
(スミマセン。全身の人工筋肉へのエネルギー供給と冷却を考えるとそのサイズとデザインになってしまうんです)
(…………いーけどさー)
(それよりも、着きました。そのドアの向こうです)
(了解。手動?)
(今開けます開けました)
(開いたね)
(灯り点けますね)
(大丈夫見えてる。それより、これ、だよね? そっくりだし)
(それです。私の、肉体です)
(……本当に、いいの?)
(お願いします。それがあると、私は自由になれないんです)
(了解)
(ごめんなさい。こんなことに付き合わせてしまって)
(言ったでしょ? 私は貴女のカラダ、だから、ね?)
(……ありがとうございます)
(それじゃあ、ほんとに撃つよ)
(お願いします)
(了解。これで……私達は自由よ)