詩の様なもの20

●Go Ahead

 


 空気がどんどんと透明になっていく。
 一月の風は芯に響く冷たさで吹く。

  フラフラとしていた。
 どこにも居場所がなく。
 どこにも向かっていない。
 何をしても進んでいる気がしない。
 まるで夜の海で手足をばたつかせてるみたいだ。
 いっそ、何もしないでいようと思って、怠惰に過ごしてみる。
 すると、世界はもっと遅く速く過ぎて行った。
 そして気がつく。
 何もしていないように感じていた日々は確かに前進のための布石だったと。
 さぁ、眠るのは止めて歩きだそう。
 迷っても立ち止まっても確かなことが一つ。
 それはどんな無駄足に見えることも前進に寄与しているという事。
 さぁ、始めよう。
 夜の海でどこがゴールかもわからない航海を始めよう。
 心だけが知る羅針盤を胸に。
 今日も手足をバタつかせる。
 これが許されたたった一つの方法。
 これだけが。
 たった一つの戦い方だ。