詩の様なもの19
●夜明け●
冬の枯れ木の枝先が鋭く、白ばみ始めた午前六時の空に影さす。
空気は青く清として冷たく、道路に配された街燈が明け始めた空に消えていく。
道に人がちらほらと見え始めた。
駅に足音が聞こえ始める。
街が起きる兆しが其処こちに現れる。
一日一日はこうして始まる。それが積み重なって一年になる。
年の瀬の冬空に欠けた月が沈む夜明け。
繰り返す日々が時間を織りなす。
時の流れは瞬く間に進む。
気がつけば十年が経っていた。次の十年でどこまでいけるだろうか?
問いかけが肺に沈み吐く息で空気に溶けた。
白く霧散する。
夜明けの空は澄み、過ぎた日々を拭きとる。
新しい日が始まる。
夜が明ける。