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詩のようなもの10

●幕引きの後の日々●

 

 カーテンコールならここだ。
 エンドロールならここだ。
 これ以上は蛇足だ。
 なのに。
 日常は続く。
 最高の時は通り過ぎてしまった。
 そうとは知らずに僕らは黄金の時を思い出話の中に置いてきてしまった。
 幸せと言う奴はずるい。
 いつだって、そうと知らさないで実感させないのだ。
 振り返って初めてあの時が黄金だったと気付くのだ。
 幸せってやつはいつも後から気づく。
 振り向いたとき。
 それは星星の輝きのように夜の道にきらきらと輝いているんだ。
 最高の時はそうとは分からずに過ぎていく。
 カーテンコールはここだ。
 エンドロールはここだ。
 ここで切れてしまえば完全無欠のハッピーエンド。
 幸せの先にあるのはその思い出を抱えて生きていく日常だ。
 ここはエンドロールの先にある場所。
 僕らはここで生きていかないといけない。
 祭りが終わった後の寂しさに、僕らは気が付いていく。けれど、それでも日々は続く。
 また、お祭りは開かれるだろうか?
 また、映画は始まるだろうか?
 演劇をやれるだろうか?
 わからない。
 けれど、幸せの先にある日常を生きていく。
 それだけが、僕らに許された戦い方なのだ。
 幸せってやつはわからない。
 その渦中にいるときは満たされているから、気付かない。
 幸せってやつはそこから離れたときに気付く。
 なんとも意地の悪い仕組みだろう?
 でも僕たちは、幸せを求めて生きなければならないらしい。
 それがわずかに示された指針だ。
 それに従うのはどうにもしゃくなのに、僕らは求めてしまう。
 幸せを。
 今日も。
 明日も。
 そして昨日も求めていた。
 カーテンコールはここだ。
 エンドロールはここだ。
 アンコールはない。
 でも日常は続く。
 幸せを求めて。
 昨日までに踏みしめた道を振り返り小さな幸せを眺めながら。
 僕らは進む。
 それだけが。
 それこそが新しい祭りなのだ知らないまま。
 それが、それこそが新しい演目の兆しだと知らないまま。
 だから生きよう。
 日常を。
 僕らは相変わらず幸せを探して幸せと言う名の演目の渦中にいる。
 そうとは知らずに。
 歩き続けることが。
 探し続けることが。
 新しいカーテンコールに。
 新しいエンドロールにたどりつくまで。
 僕らの旅は続く。