詩のようなもの5

■夜道■

 

 歩いているもうずっと。
 ここを歩き始めてからどのくらいの時間が経ったのかさえ分からない。
 ここは暗く、冷たい。
 空には月さえ見えない。
 なんの目印もない。
 だから私は自分がどのくらい歩いているかさえ分からない。
 ただ、一つだけはっきりとしていることがある。
 それは、前に歩き続けるしかないということだ。
 ゆっくりでいい。
 でも着実に。
 確実に。
 歩いて行くしかない。
 この途方もない闇の中で、何の頼りもなく歩き続けるのは怖い。
 けれど、夜が明けるときを信じて歩くのだ。
 この行為が徒労なのか、愚行なのかさえわからない。
 しかし、積み重ねるしかない。
 まだ背中に道はない。
 まだ眼前に道はない。
 夜が明ける気配もない。
 迷いがある。
 恐れがある。
 けれど、歩くしかない。
 歩くことだけが、ただ一つの武器なのだ。
 わき道を探した。
 才能を信じた。
 けれどこの夜に道はない。
 ただ積み重ねるだけが方法。
 私は歩けているだろうか?
 前に。
 少しでもいい。
 前に進めているだろうか?
 この夜にはそれを示すものすらないから、ただ、自分の胸に問いかけるしかない。
 だから、歩く。
 ゆっくりでもいい。
 着実に、確実に。
 ただ、前を向いて進むのだ。