バームクー軒ラーメン日記2

 

  「なんだ、想像してたより全然近いじゃん。」

 この日も例のごとく、友達との待ち合わせに遅刻しそうだとあせっていたのだ。しかし、川口は今まで赤羽から電車に乗ってきていたのがアホに思えるくらい近かった。10分は遅刻すると思ったが、逆に10分は早かった。

 

 それにしてもだ。西口の駅前は長いスロープの屋根の下、日高屋以外は店も人影も何も無く、曇天模様と相まってまるでゴーストタウンかホラー映画さながら。いや、日高屋に人の出入りを確認できたので人のいるゴーストタウンみたいだった。

 スロープの先に行くとスーパーや本屋があって、さすがにゴーストタウンは言いすぎだが、でっかい商業施設がいくつかある東口に比べると寂しい限り。ついでに言うなら、スーパーは何故か2件あってどっちも客層が似ているような気が。

 

 スーパーでしばらく時間を潰して友人と合流し、いざラーメンである。ラーメンで川口と言えば[かねかつ]である。 [永太]は蕨だし、他にも店はいっぱいあるけど、一番の話題店は、と言うことで勘弁してもらいたい。

 [かねかつ]には1年くらい前に来ていて、ベースの醤油も限定も美味しい、と思ったが、場所と価格帯がネックで再訪の良いタイミングが無い状態が続いていた。そんな中、友人の一人が埼玉で一緒にラーメンを食べるたびに、「よし!これで埼玉のラーメンは極めた!」と言うので、いつかここも紹介せねばと考えていたところ、麺が自家製に切り替わったと言う情報を掴み再訪に至ったのだ。

 今回は久々の再訪なので、忘れかけていたベースの味をしっかり思い出すために醤油ラーメン大盛りを注文。噂の自家製麺はどんなもんかと思っていたところ、突如パスタマシンを回し始める店主、なんと自家製麺はお客ごとにその場で作ってくれるものだったのだ。

 そしていざ着丼である。美しい見た目、良い香り、びびっと来る予感。まず、一口、うまい。やっぱ縮れた平麺はうまい。続いてスープを。これもうまい。昨今の人気店のオーソドックスな醤油ラーメンに通じる部分もあるが、ややかえしが強くてスープが力強い。そう言えば、スープはガラだけでなく肉を大目に使っているという話も聞いたような。

 このスープを引っ張るにはこの平麺しかない。そう感じながら食べていると、ふと前に来た時のことを思い出した。ラーメンも良いけど、限定のがうまいかも。今はそうじゃない。次に来る時はどっちにしようか迷う。今度はまた近いうちに再訪したい。そう思わせる幸せな一杯だった。

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